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お題消化が好きなヤツと苦手なヤツとでお題出し合いお互いに書こうという話になりまして…
うp主が出したお題は「光」でした。この文字が頭の中に見えたのでこれにした。
琳からだされたお題は「鏡」です。…ボカロですねわかります。
とりあえず、自分で出した「光」は書けたので続きに。
改行がやたら多くなりましたが、とにかく書きたかったこの雰囲気が伝わればいいなと思います。
「ひかり」
目蓋の裏側で光がちらついている。
それは蜘蛛の糸のようにも見える。
静まり返ったくらい水面の上、きらきらと張り巡らされた糸。
何が反射して光っているのか、眼球を動かして見ようとする。
目蓋は縫い付けたかのように重く、開く気配は微塵もない。
視界のすみにも捉えられない光。
見えない。
足掻くのをやめ、ちらつく光をひたすら見つめることにする。
微風に揺れているようにも感じるが、風はない。
どうやら感じようにも指先の感覚がない。ならこの目蓋を開くと何がある?
意識を起こそう。そう考えて身じろぎしようにも、胴体の感覚もなかった。
僕はどうしてる? いったいどこにいる?
目を開け。見るんだ!
体が脳の命令に応えない。視界は動かないままだ。
光の糸はその量を増していく。同時に輝きも増していく。
反対に、意識は霞がかかったようにぼやけていく。
とうとう視界がまっしろになった。光の渦。無色の洪水。
なにか。なにか。音はないか。耳を澄ます。もう耳にしか感覚がないんだ。
お、に お、く ん
懐かしい、と感じた。でも、誰だ? 誰の名前?
…お、 く、ん
呼んでくれてる? でもごめんなさい、僕には声がない。答えられない。
途切れ途切れで聞こえなくなってきた。
す… …、 … …
無音。
心地よいくらいのしろい世界。
光に溢れているのだと思う。見えないし聞こえないけれど。
あたたかい? つめたい? なにもない。ただ少し寂しくも感じる。からっぽだ。
ああ。わかりました。
僕という個がほどけていったんだ。
廻るために。紡がれていくために。
さび しい、 な…
がらんとした執務室。もう座る人は居ない椅子。いや、あっても座ってなんてなかったっけ。
机のそばに立って、オレのこと見張ってた。見張ってたっていうと感じ悪いかな。うん、手伝ってくれたりもしてた。ね?
こんなことをしたら、ちょっとだけ心が欠けちゃうかな。せっかく輪廻したのにさ。
でも、君のことを忘れたくないから。
ごめん。ほんの少しだけ、もらったよ。きみのいと。
明かりを映しひかった銀糸。
蜘蛛の糸にも似たそれは、冥王の指を飾る。