こっそりひっそり
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鬼男が転生するとき、「いずれ伴侶が出来たときには俺のことを忘れるように」と術を施しました。
ひとつひとつ、うっすらとした記憶がぼやけていくのは、閻魔のほうには伝わりますが、鬼男のほうには分かりません。
漠然とした「なにかを失った感覚」。
引越しが終わり、からっぽになった部屋から夕日を見つめ、その喪失感に包まれながらこぼれた旋律。
「どうしたの?」
「いや、なんでもないですよ。ただ、なにか」
「なにか? 忘れ物しちゃったかなあ」
「穴が開いたような、隙間が埋まったような、不思議な気分なんです」
「そう…なにかと、おわかれ、したのかもしれないね」
愛するひとができたんだね。よかったね。
解放してあげるよ。
ばいばい。
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